太陽光が多孔質シリコンから水素を発生させる
ペンシルベニア州立大学の機械エンジニアチームが、水から水素を発生させる方法を考え出した。これは、太陽エネルギーを利用したボトムアップの手順で多孔質シリコンを製造することで可能になる。この方法は、バイオセンサーや光学エレクトロニクス、バッテリーにも応用できるという。
多孔質シリコンの製造プロセスでは、彫刻のように引き算を行い、不要な部分をすべて取り除いて必要なものを残す。
ある王氏によれば、シリコンはその半導電性という特性のおかげで非常に重要なのだという。多孔質シリコンを作るにはエッチングが必要だが、その過程で多くの材料が失われる。ワンとそのチームは、化学的な手法を用いることで、材料を除去する代わりに蓄積させる。
まず、最も安価なシリコンの供給源のひとつである四塩化ケイ素から始める。抽出後、ナトリウムとカリウムの合金で処理する。また、四塩化ケイ素の塩素とケイ素の結合は非常に強いため、同様に強い還元剤が必要だと王は述べている。したがって、ナトリウム・カリウム合金はその条件を満たしている。
塩素がカリウム、ケイ素、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ナトリウムと結合し、やがて結合が切れる。この結合は強固で、ケイ素の中にある塩の結晶からなる材料になる。その後、加熱処理され、塩を除去するために水で洗浄される。すると、5~15ナノメートルの細孔が残る。
この工程はすべて、空気中の酸素がない場所で行なわなければならない。研究者たちは、アルゴンで満たされた雰囲気の中でこの手順を実施した。ナトリウム・カリウム合金は非常に反応しやすいからだ。
ナトリウムカリウム合金を利用する工業規模のプロセスがあるため、この新しい種類のシリコンを作るために同じものを採用することができる。
シリコン粒子には多数の細孔があるため、表面積が大きく、太陽が水と多孔質シリコンを照らすと触媒として利用できる。太陽のエネルギーが電子を励起し、水を還元して気体状の水素を発生させるのだ。