プラチナが最も高価な金属である理由
欧州ではディーゼル車の販売が増加しており、2004年 以降はプラチナの使用量が大幅に増加すると予想される。中国、欧州、日本などでは排ガス規制が強化されており、 特に小型ディーゼル車では粒子状物質の排出規制が強化さ れるため、触媒へのプラチナ平均装填量が増加すると予想され る。
米国では、ほとんどのメーカーでプラチナ使用量の削減が 進んでいる。パラジウムとプラチナの価格差が1トロイオ ンスあたり600ドルを超えていることから、自動車メーカーはガ ソリンエンジン車のPGM比率をパラジウムに変更し、過去3 年間の傾向を逆転させるとの見方もある。
自動車業界のパラジウム使用量は短期的に増加すると予想される。欧州と日本では、粒子状物質排出規制の強化に伴い、自動車触媒 の平均装填量がプラチナを犠牲にして増加すると予想される。米国の自動車メーカーが昨年中にパラジウム在庫を急減させ たため、米国の自動車メーカーによるパラジウム購入量が増 加するとみられる。
米国の自動車メーカーの多くは、過去にパラジウム価格が高騰し、乱高下した経緯があるため、まだ切り替えに踏み切れていない。ガソリン車の自動車触媒では、多くのメーカーがプラチナ よりもパラジウムの使用を増やす方向にシフトしており、 アジアと欧州のパラジウム使用量も小幅ながら増加するとみ られる。
ただ し、欧州では、ガソリン車の生産台数が減少する一方、ディー ゼルエンジンの販売台数は引き続き増加すると予想され るため、パラジウムへの切り替えによって期待される増 加分の一部は相殺されるであろう。前述のように、一部の米国メーカーもPGM比率をパラジウ ムにシフトさせる可能性があるが、これはさらなる倹約によって大 幅に相殺されるであろう。
エレクトロニクスセクターでは、部品販売の増加が予想される。しかし、パラジウム需要の増加は、小型化と多層セラ ミックコンデンサーのニッケル・銀のパラジウム代替によっていくぶん相殺され るであろう。プラチナ宝飾品は高値が続き、ホワイトゴールドやパラジウ ムで代替されるため、世界的に販売量が減少すると予想される。
中国では、パラジウム宝飾品の価格が金やプラチナ よりも低いため、販売量が増加すると予想される。パラジウムとプラチナの供給は、南アフリカの新規鉱山か ら大幅に増加すると予想される。